イエス・キリストの福音は人のたましいを救うと同時にその人にこころとからだの全人(whole person)的いやしをもたらします。こころ病む人々にはいやしと解放の福音となります。その一方で今日の精神医学は特に生物学的精神医学において大きな進歩を見、それとともに保健福祉の面における支援体制も徐々に整備されつつあり、長く差別と偏見のもとにあったこころ病む人々にとっては大きな光がさしこんできました。これら現代医療の貢献にわたしたちは注目すべきでしょう。キリスト教界においてもこの現代医療と全人的福音の相互協力の必要がますます認識されるようになってきました。
そして今日、日本の福音主義キリスト教会が直面する最大の課題の一つはこうしたこころ病む人々に対するコミトメントであろうと思われます。近年教会にこころ病む人々に対する重荷が与えられ、数々の運動が起こりつつあることは喜ばしいかぎりです。わたしたちはこうした動きに大いに賛同します。しかしながら、わたしたちはもう一つ明確な認識に立ちつつここに新たな動きを始めようとしています。
それは第一に精神医療の研究において、精神医学・心理学における聖書の首位性の主張です。「聖書は誤りのない神のことばである」との認識に立つわたしたちは、聖書と精神医学・心理学の統合でなく、聖書の真理を精神医学、心理学においても実証しようとするものです。つまり福音主義キリスト教の立場から「聖書的精神医学」、「聖書的カウンセリング」の追究をしようとするものです。
第二にわたしたちはまた、ただ単に学問研究にとどまることなく日本における福音主義キリスト教会に仕えることを使命として、セミナー・シンポジウム等の教育、医療・カウンセリング等のサービスの提供など実践運動を起こそうとするものです。わたしたちの働きは教会の必要に答えるものであることを最優先の課題としたいと思います。わたしたちはこうした実践活動が従来個人参加の傾向があった事実を認め、教会全体の働きとして進められることを願っています。そして医療・カウンセリングがこころ病む現代日本の社会に対する教会の宣教の有力な手段としてキリストの栄光のために用いられることを願っています。
以上の認識に立ちつつここに「聖書と精神医療研究会」の設立を願うものです。神学・牧会関係者、精神医療・心理学関係者、社会福祉関係者その他幅広い方面からわたしたちの趣旨に賛同する方々の参加を広く求めます。
1996年4月29日
聖書と精神医療研究会
本会は「聖書と精神医療研究会」と称する。
本会の事務所を下記に置く。
120 東京都足立区千住旭町31−5 北千住旭クリニック内(03−3879−4565)
本会は聖書の十全霊感を信じる福音主義キリスト教の立場に立つ。
本会の目的と事業は下記のものであり、これらを通して日本の福音主義キリスト教会に仕えることである。
本会の運営は理事会がこれに当たる。理事会は理事長、その他の役員を互選する。任期は2年とするが再任を妨げない。評議員会は本会に対する参考意見を述べ、会の発展に寄与する。
会員は福音主義キリスト者であって、精神医療及びカウンセリングに重荷をもつ神学者・牧師、精神科医師・一般医師・医療関係者、心理学・カウンセリングを専門とするもの、社会福祉関係者、その他これに準ずる者。賛助会員は本会の趣旨に賛同する教会、教育機関、その他団体である。
本会の経費は会費および献金による。
本会の規約の改正は総会の議を経て理事会によって決定する。
本会は必要に応じて細則を設けることができる。
細則
本会に入会する者は、本会の神学的立場(規約第3条)を承認し会員1名の推薦により、理事会の承認を経なければならない。
会費は会員、賛助会員とも年額3000円である。
本会の細則の改正は理事会によって決定する。
〒262−0032
千葉市花見川区幕張町4-627
TEL 043-273-1737